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無駄な廊下を削るプランニング [建築]

こんにちは、大林です。

グッと冷え始めましたね。
北海道の方には笑われそうですが冬到来という感じです。

実は私、学生時代に6年間、札幌で暮らしていたのですが、体が温暖地生活モードに完全に戻ってしまいましたので、もう寒さは苦手ですね、やっぱり。

さて、建築の専門学校で建築の授業をいくつか担当しているのですが、今更ながらに授業をしながら、「おっ、そうだよな」と新鮮な気持ちになります。


1年生の設計課題に少し関わったときのこと。

小住宅を設計する課題なのですが、部屋と部屋を細い廊下でつなぐ学生が多数で、「そうだよな、最初はそうだよな。そうやりがちだよな」と私も懐かしくなりました。

やる気を削がないようにどうコメントしようかな。

まず、「廊下もったいないよね。歩くだけのスペースをそんなに取らないとだめ? 今日みたいな日ってそこ寒いよね。暖房するの?」

「現実的な話してみようか。工事費を計算しやすく1坪80万円とするじゃん。その1マス(91センチx91センチ)って20万円なのよ。」

20万、20万、20万・・・と、マス目を数えていきます。あっという間に100万、200万を超えます。 

そうすると学生の顔がハッと変わり、「おおー。そうですよねー。」と何か気づいたようです。

「学校の教室だったら例えば授業中の他の教室を通って、別のクラスが隣の教室に移動するのはマズイよね。だから移動空間としての廊下は必要かもね。」

「でも、住宅はどうなの? 居間を通って寝室や他の部屋に行くのって問題ある? 居間の隣に個室があってもいいじゃない? 他人でもなく家族だし普通だよね。廊下で繋がないとダメなんて法律無いよね。小さな家なんだから、用途を兼ねてしまうほうがスッキリすると思うよ。」

「でも、リビングのすぐ隣がトイレとか、脱衣所とか、音や湿気の問題でちょっと距離を取りたい時あるよね。」

「ただいま!って家に帰ってきたら、ホテルの宴会場のように大空間がドドーンと広がっていると全部丸見えで寒々しいよね。そういうときにワンクッション取って、廊下もしくはホール的な空間でちょっと離してあげるといいと思うよ。」

と、答えました。

自分で家事をしてみたり、光熱費を支払ってみたり、家を建てて支払いをしてみないと気づかないことが多いのは当たり前。

ただ、この先、社会に出て対価を貰って建築の仕事をしていくときに、「そんな事も知らないのですか」とお客さんに呆れられるようでは、学校で学んだ時間が無駄になってしまう。 学んだ「気付き」の蓄積がきっと設計の肥やしになるはず。

相手の生活を考えて、いい住宅設計ができるようになってくれるといいな、と温かい目で見守ろうと思います。

IMG_8384.jpg

大林勇設計事務所
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