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引手の魅力 [建築]

こんにちは、大林です。

秋ですよ、もうすっかり。

 令和2年は、長男次男のダブル受験やら引っ越しやら、挙句の果てにオンライン授業で登校できず・・・の混乱に追われ、気づけばもう秋。 不完全燃焼の反省を交えて残り3ヶ月を充実した時間とすることにします、と目標設定。

 つい先日、業界でドア、引き戸の建築金物の老舗として有名な東京新橋の堀商店が移転すると聞き、驚きました。 ああ、新橋の一等地に建つ、レトロビルにも再開発の波が(泣)・・・と。 噂によるとどうやら建物は残るらしいですが、一等地ですので今後どうなることやら。

 私が修行した事務所は、今となっては幸運なことに建具金物をケチらない教えでしたので、新橋の堀商店、赤坂の清水商店など、一流の金物屋さんの存在を知ることができました。

 そんな経緯もあり、建具の金物は大好きですし、当事務所で設計させていただいた制作建具の玄関は、全て堀商店の錠前を採用しています。

 真鍮製の金物の場合、五円玉のように色が変わっていきますがこの渋さが癖になります。
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 安い建具金物は、機械でパシーンと整形して終わりのものが多く、やはり高級品とはその差歴然です。 特に和風の建物を見るときに私の場合は、襖金物を見てしまいます。 毎日手が触れる部分ですので、こだわりを持ちたいと当事務所では考えています。

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襖の引手もいろいろな形があります。

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機会があると、いくつか面白そうなものを買い置きしています。

手触りを大切に。

大林勇設計事務所 





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「家づくり再入門」編⑫ 建物の配置をどうしようか? [建築]

こんにちは、大林です。

 台風はすでに去ったはずですが、突然雨が降ったり、雷が鳴ったり、実に不安定な天気。皆様いかがお過ごしでしょうか?

 天気予報を見ながら、朝、夕、夜に相変わらずちょこちょこジョギングを続けております。マラソン大会が全くと言っていいほど開催されず、目標を失いかけますが、ランナー仲間と励まし励まされ、走り続けています。

 日中にMさんからお電話が有り、娘さんのいい話を聞きました。おめでとうございます。 そこで、ふっとブログのネタを思いつきました。

 実は、私・・・家の配置をもう少し南に振って斜めでも良かったかな、なんてチラッと思うこともあります。 今更なんですけどね。 四角の土地に家を建てる場合、大体北側の境界線に平行に建てるのが、オーソドックスな「解法」です。 北側道路の我が家もそうでした。

 キツキツの土地の場合は、平行に納めざるを得ないのですが、敷地に余裕があったり、ソーラーシステムの家や太陽光発電の効率アップを狙ったりする場合、太陽重視で真南に向くほうが良い場合もあります。
我が家は、太陽光発電等の搭載は有りませんが、家の周りに細切りのスペースが残るよりは、三角や台形のスペースのほうが庭や植栽に立体感が出るかなと言うのが、斜めが気になる理由です。

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 敷地の四隅にできる台形や三角の土地も割といいかもしれないと身を持って体感したのは、Mさんとの出会いからでした。 Mさんはお仕事柄、考え方が非常にクリエイティブで、私の考えた案をいとも簡単に15度位南に回転させ、FAXを返信してきました。 Mさんの柔軟な考えに対し、オーソドックスに敷地境界に平行に納めたかった私は、打合せの途中でMさんと何度も険悪になりました。

ただ、何度かそんな経験をすると、「意外にいいかもな」「施主さんがそう言うなら」と私も斜め配置の家を実現したくなってきました。そして、斜め配置の方針が確定しました。

 レイアウトに苦労しながら、実際に建物が出来上がると、その三角や台形の生み出す余白が実に良いのです。細切りの羊羹状の土地と違って、広いのか狭いのかよく分からない、三角の土地、ただ何となく丁度いいサイズがそこには生まれました。

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  言葉ではうまく表現できないのですが、予想外の広がりが不思議な落ち着きを生みます。 Mさんとの家づくりで、一ついい経験をさせていただいた思い出の話でした。

敷地境界線に対して平行配置が良いとは限らない。三角や台形の余白が思わぬ効果を生む可能性あり。

大林勇設計事務所
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「家づくり再入門」編⑪ 屋根の材料は何にしようか? [家づくり再入門]

こんにちは、大林です。

 猛暑が終盤に近づいたかと思うと、雨やら雷やら・・・。 ここは、シンガポールかってほどの突然の雨。 まるで熱帯のようですね。

 あまり激しい雨の日は割とガルバリウム鋼板の屋根を叩く音がうるさく、今日の話題を思いつきました。

 屋根は何で葺くのがいいのか問題。

 我が家は先に書いたとおり、ガルバリウム鋼鈑の段葺きという工法で葺きました。 予算が安く済むことももちろんですが、シンプルな外観が好きで選びました。

大まかな選択肢としては・・・

①ガルバリウム鋼鈑(段葺き、縦ハゼ葺、瓦棒葺などいろいろ)
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②和瓦葺(テカテカの釉薬のかかっていない「いぶし瓦」)
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③洋瓦(平板瓦やS型瓦)
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④化粧スレート葺(セメント製品)
当事務所ではあいにく施工例がないため、写真がありません。


あたりが一般的かと思います。

将来的にメンテナンス費用を考えると、②③は割れ以外の交換は基本的に不要だと思いますので、初期投資は①④よりは高いですが、将来的にはペイできると思います。

①は、前述の通り初期コストが安く、耐久性はありますが、雨音がちょっとうるさいかもしれません。 最近は当事務所も屋根の工法を変えたので以前より音問題は良いかもしれませんが。

 あと、個人的な見解ですがメンテナンスの間隔を多少伸ばしても屋根に穴が空くわけでもないのでその点、気楽でもあります。

④は、もともと工業製品である化粧スレート板の素材自体は撥水性能が無く、塗膜で撥水しています。 そのため、塗膜の耐久性が屋根の耐久性に直結します。
 そのため、塗膜が劣化すると下地に染み込み、漏水の原因となります。 よって、メンテナンスの間隔はきっちりと守らないと塗り替えだけでは済まず、構造の腐食を招き、屋根の下地からやり換えなど思わぬ出費を強いられます。 屋根を見て色が褪せたり、苔が生えるような状態だと要注意です。 

そのため、当事務所では①②③が主な選択肢となります。

よく気にされる方がいらっしゃるのは、瓦だと屋根が重くて地震に弱いのでは?という質問です。

 屋根が重いのは事実ですが、建築基準法では屋根が重いか軽いかにより、必要とされる耐力壁の量が異なります。 そのため、建築基準法に則って計算を行えば、構造的に不利になることは有りません。 昔の家は土を載せて瓦を葺いていましたが、現在の工法では桟木に引っ掛けて釘打ちを行っていますので、昔より屋根荷重も軽く十分に安全な工法だと思われます。

いま私が家を建てるとすると、年齢的に和風好みが強くなり、②を選ぶかも。


 ただ、屋根材を選ぶのは、屋根の勾配と密接に関連するため、全体の見た目の問題も有り、設計の大きな分かれ目になります。 この点は十分に悩んでください。

屋根材選びは慎重に。 10年後のメンテナンスのコストとのバランスも忘れずに。

大林勇設計事務所
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