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コロナ禍でも良いこともある。 [建築]

こんにちは、大林です。

出だしから、皆様のお怒りを買ってしまいそうですが・・・

コロナ禍で良かったことと言えば? 
もうこの問い自体が、タブーであることは分かっています。

 でも、マイナスばかりではないことを認識して、そろそろプラスを見出しながら前を向いたほうが良いかも、というか自分はそういうマインドでありたいと思っています。

 というのも、建築関係のSNSで知り申し込んだのですが、土曜日に京都大学の建築学科平田晃久研究室のオンラインレクチャーがありました。 これが非常に面白かった。

 平田晃久氏については、以前から興味があり、従来の陰気臭いカプセルホテルのイメージを打破したナインアワーズというカプセルホテル空間を赤坂と浅草で体験済。

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 大学の講義ですから、なかなか縁もゆかりもないオジサンがノコノコと学生に混じってキャンパスに現れるのも不思議というか不審。 そういった意味では、ワールドワイドに門戸が開かれたと考えれば、「知りたい」「見たい」意欲のある方には、チャンスが増えたと考えて良いでしょう。

 登場してくださったのは、すでに世界中で作品を生み出されていると同時に、2025年大阪万博の会場デザインを手がけられる藤本壮介さん。

 地方でコンパクトな仕事ばかりしている私には疎遠になりつつある、都市と建築という観点の作品紹介がとても興味深く、時は違えど学生時代のケンチクケンチクしている空気が懐かしく思い起こされる。

 いま、地方都市に足らないのはワクワクするような都市体験なのかな。 浜松も御多分に漏れず、中心街がさびれている。 松菱というデパートの有った一等地は、10年以上も空き地。 さて、この先どうなるだろうか? 恐ろしくもあり、楽しみでもあり・・・。 魅力の薄い巨大な壁のような箱が作られないことを願う。

大林勇設計事務所
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住み手の暮らしを守る [建築]

こんにちは、大林です。

 ここ浜松でも今年は例年より寒いのか、雪がチラチラと舞う事が多いように思います。 なかなか冷えますね。

 数日前に今年も「1/17」を迎えたこと、我が家の長男が成人を迎えたこともあり、建物と住み手の関係が脳裏にチラチラと浮かびました。

 27年前のこと、高校の同級生が神戸の震災で命を落としました。 幽霊部員として私が形だけ所属していた高校の部活で、彼は真面目に練習し、その後大好きな野球に大学まで取り組んでいたそうです。 建築の道を志していたそうで、生きていたならばいつか浜松で仕事で関わっていたかと思うと、今更ながらに残念でなりません。

 ある時期から、私はWEBに残っている情報を探し、神戸大で学んだ彼や、彼以外の御遺族の手記に目を通しはじめました。 その中でも一番記憶に残っているのは、どなたの御遺族かは記憶していませんが、「成人式(当時1/15)のあと、『もう少しゆっくりしていけよ』と私は言ったのだが、息子は『やることがあるから神戸に戻るわ』と、それが最後のやり取りだった」といった趣旨の手記でした。

 今年、我が家の長男のスーツ姿をスマホに収めながら、ちょうどこの御遺族の手記が脳裏に浮かび、恐ろしくなると同時に建築に関わるものとして、人命を救うことがあっても失う元凶になるようなことがあってはいけないと強く心に誓いました。

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家づくりで私の大切にしていること

・災害から人命を守ること。
・暑さ寒さから、住み手をまもり、心穏やかに暮らせること
・自宅のこんなところが気に入っていると、住み手の心に一生残ること 

今年も家づくりに丁寧に取り組んでいきたいと思います。

大林勇設計事務所
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あれから10年、これから10年。 [建築]

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。

今朝(1/5)にジョギングした感じでは、近所の工業団地への通勤ルートのためか、車はまだまだ少ないようなので、世の中の本格始業は1/6以降ですかね。

さて、年末年始に「あっ、ウチもそろそろ築10年だな。」と思いながら、思考を整理していると、これから家を建てる人のヒントになりそうなことがあったのでザラッと書き出してみます。

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10年前の完成写真


まずは・・・
今ならこうするかな、という点を。

・市販商品の開口部の性能が大分向上したように思います。今ならYKKapのAPW330が基本路線かな、と思います。 ペアガラスの間のスペーサーは、せっかくならば「樹脂」を採用したいと思います。

・日本人は、引違い窓が普及しているために深く考えずに選びがちですが、構造上、気密性能は、開き系の窓に劣ると思います。引違い窓は必要な場所だけに、箇所を減らすだろうなと思います。

・TV機能の高度化に対する準備が少なかったことは反省要素。無線LANが普及したとは言え、安定度を考えるなら有線も用意したい。 光インターネットのルーター部からTVへのLAN配線は、用意すべきでした。 メインのTV裏にはアンテナ端子とLAN端子を。

・床下断熱は、訳アリのフェノールフォームt40が安く入手できたので使用しましたが、今ならばt90にするかな。 床下の断熱改修は現実的には難しいので、そのとき採用できる最高レベルにしておきたいところ。

・当時は28ミリ合板に抗って、根太工法を使いましたが、木材の加工精度も向上していますし、気密も取りやすいので28ミリ合板で良いと思います。 ただ、3尺角の間に合板受けを1本入れることは「タレ」を防ぐために重要かと思います。

・間取りの都合上、薪ストーブが仕事場の真反対にありますが、やはり家の中央に置けるのであれば、そのほうがベターだったかも。


続いては・・・
この部分は、再び採用する、という点を。

・開き扉を1箇所も使わなかったこと。 やはり開放的な暮らしに引き戸は一番都合が良い。 1階をグルグル回ることができる便利さは、引き戸との組み合わせで、より向上する。

・水回りを2階に設置したこと。 私の場合は1階で仕事をするため、生活感のあるものを2階に分離し、個人的には気に入っている。 2階水回りだと日々の使い勝手を心配されるが、階段は勾配を緩く設計しているため、今のところは問題な無い。 土地と資金に余裕があれば、平屋にしたかも。

・信州唐松の床は足ざわりもよく、傷も目立たず、気楽に付き合える床材。 最近、生産量も減っていると聞き、入手に困ったことがある。

・左官の壁は、ビニール壁紙と根本的に異なり、飽きることなく推奨したい素材。 我が家にはビニール壁紙が1ミリもありません。 言葉では説明が難しいが、10年経った今でも陰影の美しさにハッと心を奪われることがある。

・内部建具は、我が家を構成する主要要素。 毎日手に触れる部分だからこそ、触れるたびに「よくぞ、こんなに面倒な加工に付き合ってくれた」と職人の手仕事に感謝する。

・材木屋さんがプレゼントしてくださった存在感たっぷりの広葉樹の大型ダイニングテーブル。 食事や読書、子どもたちの勉強机として我が家の生活の中心にあると言っても過言ではない。 プリント合板物ではなく、毎日使うものだからこそ、ここには厚手の無垢材のテーブルをおすすめしたい。

・玄関や居間の大型製作引戸の断熱性能は、市販品に比べると気密性能は劣るのは承知していますが、デザインの楽しみも捨てがたいので、これは再び採用すると思います。居間の窓を全開にして、ウッドデッキ越しに庭とつながる感覚は、心が安らぐ。


 自らあれこれ悩みながら設計し、10年間暮らして体験したノウハウを今後の住宅設計に生かしていきたいと思います。

大林勇設計事務所
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