冬季の暖房について [建築]
DeLonghi オイル・ラジエターヒーター R731015EF
お客さんから質問があったので、冬季の暖房について考えてみます。
思いついた順に
?ファンヒーター
?エアコン
?床暖房
?温水暖房
?薪ストーブ
?某ソーラーシステム
新築の際に、という点を考えると、
?、?を暖房のエースの座に据えるのは設計士としては抵抗があります。
理由として、これらが暖めているのは、ずばり空気そのもの。
自由に動き回る空気自体の熱の保持力は弱いため、
機器のスイッチを切ると、温度は低下の一途をたどります。
もうひとつ・・・暖かい空気は上昇するため、足は冷えるのに顔だけがが火照る不快感は避けられません。吹き抜けがあれば、暖気が上昇して逃げてしまうでしょう。
また、空気を逃がさないために暖房室と非暖房室という境界が必ず存在してしまうことも短所の一つでしょうか。
?以下は、空気を暖めるというより、
暖かい物体があると触れていなくても暖かい、という原理の暖房です。
一例として、焚き火をイメージすると良いでしょう。
本人の目の前の空気自体は、それほど暖かくないはずです。
これを輻射と言います。
?では床全体、
?では温水パネル、
?では燃焼する薪、もしくは鉄製のストーブ本体、
?では床下コンクリート
が輻射の源となります。
?は、床材の仕様が限定されるというのが注意点の一つです。
床暖房に使用される温水は、最高60度に達するものもあり、ムク材にとっては極度の乾燥状態となり、収縮が問題を引き起こす可能性が高くなります。
このため、当初より十分な乾燥を施した「床暖房対応品」という商品もありますが、材料単価がとても高い。というのも注意したい点です。
?は、床暖房と同じ仕組みのものを壁に取り付けたものです。
床材の仕様は問いませんが、床暖房に比べれば放熱面積が少ないというのが一つの欠点でしょうか?
?は、大人を中心に見直されている薪ストーブです。
灯油の高騰は何のその。薪さえ調達できれば、うまくいけば暖房費無料です。ただ、しっかりした煙突業者と付き合わないと、一酸化中毒の恐れもあります。加えて、薪の安定供給のルートを確保しておかないと、かえって高くつくかもしれません。子供の火傷も注意すべきです。工事現場の残材をもらえるような交渉力があれば最高です。くれぐれもベニヤは燃やさない事、あくまでもムク材です。
?は有名な某ソーラーシステムです。
屋根で暖めた空気を床下に送り、床下のコンクリートを蓄熱体とした一種の暖房です。
暖かいというよりむしろ「床が冷たくない」と説明するのが良いかもしれません。
ただし、100%太陽頼みでは曇天が続く時期には温度低下が避けられないので、補助暖房をセットして考えるのが一般的です。
夏は、太陽熱でお湯も取れるので夏場のシャワーは無料という恩恵も受けられます。
このシステムの問題は、冬季の乾燥と、施工が会員工務店に限られることでしょうか。
樹種によりますが、フローリングの間にゴマ(!!)が挟まる程度の事はよくある出来事のようです。
いずれの暖房にしても、長所・短所がありますが、一つだけ確実に言える事は、地域に適した十分な断熱無しでは、快適環境は得られないということです。
暖房と同時に断熱にも目を向けてみましょう。
暖房器具にもう5万使うのならば、断熱にもう5万使う方がお得だと個人的には考えています。
断熱については、また今度機会を設けて書いてみます。
大林勇設計事務所
2006-10-05 18:16
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