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【良著】国産材はなぜ売れなかったのか? [建築]

こんにちは、大林です。



朝起きると今朝は涼しいと言うよりも寒いに近い。

夏が去って行く寂しさと薪ストーブを楽しめるワクワクのせめぎあい。



家庭菜園の方は、夏野菜を半分片づけ、ほうれん草と大根、ブロッコリー、を撒き、良い感じに成長しています。



さて、本題。



私、図書館に行くのが好きなのですが、ふらっと館内を回っていて植物のコーナーで気になったのがこれ↓。



国産材はなぜ売れなかったのか

国産材はなぜ売れなかったのか

荻 大陸



 今まであまり借りる人が居なかったように見えましたが、木造住宅に取り組み人には非常にためになる良著かと思います。



 まずは、私を含めて多くの人が誤解していると思われる「外材が安く、国産材が高いから衰退しつつある。」という説。



 これは今でこそ、確かにそうですが、今に至るまでは理由があり、簡単に言うと国産材の流通や製材、そもそも商売としてルーズな部分があったという過去の商慣習の問題点があり、昔オイシイ思いをした分だけ、そのツケを現在払って苦しんでいるような印象を受けました。



 伝票上の材積と商品の実材積が異なるとか、原木が小径であるがために柱の角が丸く落ちていたとか、紐で梱包する束の外は良材だが、中に欠陥材を丸め込むなど今では通用しないことが昔はまかり通っていたなど過去を知る上で非常に参考になります。



 確かに、昔の家に手を入れさせてもらうこともあるのですが、柱が「□」であることは少なく、角が落ちていることがありました。原木自体の径が小さいから真四角に取れる寸面は小さく、ひどい場合は八角形状になります。 しかしながら、材積は□で計算するので空気を買うことになります。



 当時は木は貴重でしたから消費者よりも山側の立場が強く、その立場に胡座をかいていた結果、大径木が取れ品質の安定している外材に付け込まれたという印象です。



 ただ、東濃檜をはじめとする国産材勢も過去の過ちを反省し改善を重ねたことも記されており、その後の役物信仰など製材・林業の歴史を知ることができます。 もちろん、現在では日本中どこでも製材基準の厳格化、乾燥・モルダーの発達により製品としての品質の高い材木が流通しているのは周知のとおりです。



 静岡県や浜松市でも県産材を使おうという行政の呼びかけがありますが、特に住宅の建築業界にいると、県産材を利用するのは補助金狙いが多いように見えます。 市内を車で走っていて県産材利用ののぼりが現場に立って入るものの、大壁でベタベタ石膏ボードを張っている現場が多く見受けられます。 最後には木は全く見えなくなってしまうのです。



 要するに天竜杉が好きなわけではなくて材種は何でもいいのでしょう。 もちろんこれは悪いことではなくて、制度を有効利用した賢い選択の一つかと思いますが、いつか財政が緊縮し、補助金がなくなった時に「県産材を使う理由が一つも無い。」と言う事態になるのは避けるべきだと思います。



 そのためには天竜杉をはじめとする県産材のファンづくり、これが重要なのかなと思います。 例えば、大間のマグロが欲しい人はスーパーの特売のバチマグロではなく、高くても大間のマグロが欲しいんですよ。 何か売り込みのヒントは無いのかしら。



大林勇設計事務所
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