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建て主さんから教えていただくこと [建築]

こんにちは、大林です。

 スッキリいい天気。梅雨の前の気持ちの良い時期です。 アジサイももうじき咲きそう。 好きな季節です。 薪ストーブの終わる淋しさを打ち消すように新緑が綺麗! 四季っていいなあと今更ながらに感じる私です。

さてさて・・・

 先ほど、HPの写真を整理していたら、数年前の出来事を思い出しました。

設計の最中にお客さんの口から「デンセイカンって付きますか?」と聞かれたこと。

「デ」「ン」「セ」「イ」「カ」「ン」

 ハイテク企業にお勤めの建て主さんから、まさかそんなアナログの言葉が発せられるとは予想外過ぎて、事態を飲み込み「伝声管」と変換するのに多分5秒くらいかかりました。 

情けないことに多分、第一声は「はぁ、なるほど。」と場つなぎにとりあえず言ったかもしれません。

 「きっと既製品をどこかで見かけたんだろうな。」と思い、仕事場に帰って検索。 サクッと既製品が見つかり、図面に書けばイッチョ上がり・・・な訳はありません。

 出てくるのは戦艦の写真ばかり。 どうしましょう? 見積もりを取るにも製品の実体が無いのですから取りようがありません。

 壁の中に隠れる途中の部分は、水道管を連結するとして肝心なラッパのような部分はどうしよう? ホームセンターや金物屋を回ります。  が、そんなものはありません。 だって使う人がいないのですから売っているはずもありません。

 ヤケクソで100均で御碗を購入。 そのままでは当然ですが御碗です。 これをホールソーでくり貫き水道管と連結。 現場であてがってみると、色さえ何とかすればそれっぽく仕上がりそう。
IMG_9531.jpg

 剥がれないように処理をしてスプレー塗装。 ここまでまさかの一級建築士の仕事(笑)。 昔の模型少年ですから、こういうの実は大好き。

IMG_9723.jpg

茶色の御碗が伝声管のラッパ部になりました。

あとは、水道屋さんにパイプを施工していただき、
IMG_9527.jpg 

完成! 1階は白、2階は黒で仕上げました。
_MG_8858_ShiftN.jpg

現場の職人さんと「聞こえる?」「聞こえる聞こえる、ワーイ!」と子供のように通話実験をしたのは言うまでもありません(笑)。

無いものは作る。 建て主さんの口からポッと出たひと言で、知恵を働かせる機会が生まれました。
「大林さん、伝声管いいですよー!」建て主さんにも喜んでいただけました。

新卒で勤めた量産ハウスメーカーだったら、間違いなくこんな小回り中の小回りはできなかっただろうな、と思い出深い出来事でした。 

大林勇設計事務所 
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